ベクトルの足し算は次のように定義されます。すなわち、2つのベクトル a、bに対して a+bは、a、b の始点を揃えたとき、a、bを辺とする 平行四辺形の 対角線(方向は図を参照)が表すベクトルのこととします。

ここで平行四辺形の性質を使うともっと別の形にも、a+b を表現することが出来ます。今平行四辺形ABCDを考えましょう。(下図)

この時
と
の和
+
は定義から
になる訳ですが
平行四辺形の性質から辺ADと辺BCは互いに平行、すなわち
同じ方向を向いていて、
しかもその「長さ」(大きさ)も同じです。
すなわち大きさと方向を持ったものという、ベクトル
の概念からはベクトル
と
は始点の位置が異なるだけで、
ベクトルとしては同じもの、と考えられ、従って
下図のようにしても、ベクトルの足し算a+bを
求めることができることになるのです。

すなわち、bの始点をaに持ってきて aの始点とbの終点を結んでやれば、 a+bが求められる、というわけです。
同じことを繰り返すことによって3つ、4つ、あるいはもっと多くのベクトルの足し算も 求められることになります。例えば下図において5つの黒いベクトルの和は 青いベクトルとして得られます。

次にベクトルaとbの 引き算a‐bについて考えましょう。 その前にまずはベクトルと「普通の数」の掛け算について定義します。
あるベクトルaの2倍のベクトル、とはどんなものでしょうか? 直感的に考えて、それは方向は同じで大きさが2倍のベクトルでしょう。 つまり

ということです。(図では始点を少しずらして表示しています。)同様に 5倍、2.325倍、etc.とプラスの数をかけることの意味は明らかでしょう。では -1倍はどうでしょう?それは

のようにベクトルの大きさはそのままに、向きを正反対にすることを 意味します。こうすると数直線でプラスの数に-1をかけた 場合と全く同様の扱い、ということになります。
ここまでくればベクトルの引き算a-bの 定義の仕方も簡単でしょう。すなわち
a-b=a+(-b)
とすれば良いわけです。従ってこれを図示するなら a+(-b)=(-b)+a と考えるなら図の赤いベクトルとしてベクトルの引き算ができたことになります。

しかし図を見れば分かるように便利な引き算の表示法があるのです。 平行四辺形の性質から図のようにベクトルa、bの始点を揃えた 上で、bの終点から、aの終点に向かって引いてできる ベクトルがa-bになるのです!
このようなベクトルの引き算の仕方は物理等では非常に良く使われるので 是非とも覚えるようにしましょう。